NHKねほりんぱほりん「ホストに貢ぐ女(前編)」が再放送される。

30歳主婦の私はこれまでホストクラブに行ったことがなく、 以前見たときには内容に衝撃的をうけ、今も鮮明に覚えている。

放送を見たあとはホストクラブのシステムに感心したり、ホストクラブに行かなかったことを安心したり、貢げる彼女を羨んだり、子育てを反省したりと忙しく感情が動いた。

「なぜ【ホストに貢ぐ女】のテーマで子育ての反省?」と思うよね。見た人ほピンとくるかな。それについてはもう少し下の方で。

恐ろしいのは”ラスソン”制度

まずなんといっても関心したのがどんどんハマるそのシステム。

Twitterでも「このシステムを作った人がすごいわ」と反響がたくさんあったのを見ました。

ずぶずぶハマるシステムはこれ

  1. 初回は少ない金額でホストが入れ代わり立ち代わり会いに来てくれる
  2. 2回目以降は指名したホスト(担当)を変えることはできないため、その担当の順位を上げてあげたいという使命感によってお金を使ってしまう
  3. 「担当に尽くしたい」という気持ちが薄い、ただ担当を独り占めしたいという客もつい金を落としてしまうラストソング制度

ラストソング制度とは

通称ラスソン。その日の売上が一番良かったホストが、そのホストに今日一番お金を使った人の隣で歌を歌ってくれる。

私はホストのために担当をNo.1にしたいとは思わないかもしれないけど、このラストソング制度にはお金使ってしまう気がする・・・!

繁忙日でない普通の日に行って全力でお金使いまくったら、好きな人の隣で好きな人が私のために歌ってくれて、しかもそれをほかの女たちに見せびらかせるんでしょ?

最高だわ。

しかも1ヶ月お金使い続けるんじゃなく、貯めてきて用意したお金を1日に集中的に使えばいいって、短距離走ならなんだか頑張れる気がしない・・・?!

1ヶ月とか2ヶ月とか会えない時間も、そのあと必ず彼に会いに行けると思ったら仕事も頑張れるし、その日に向けてダイエットも頑張れるし一石二鳥どころじゃないんじゃない?

ハマると待ってる辛い日々

・・・と頭をよぎったけれど、やっぱりホストに行ったことがなくて良かったなと思っている。

だって女の人を自分に夢中にさせる技術を持った人が、薄暗い中で口説いてきたら恋愛脳の私はきっと一発で打ち抜かれる。

しかも普通の恋は頑張っても報われないことが多いけど、ホストは頑張ったら報われちゃうんだもん。

大金払ったら長く一緒にいられるんだもん。

すなわち、

恋が報われない=自分の財力が低い=稼ぐ能力が足りない=人間として劣っている

となって、精神を病んだかも知れない。

大金をつくる仕事をする根性も力量も自分にないことが分かっているから。

しかも敗者になった自分から見えるところに勝者がいて、一番ほしい人のとなりで幸せそうにしている・・・辛すぎるわ。

会いたくてというより怒りで震えるわ。

だからホストに行ったことがなくてよかったと思う。

ちょっと憧れるけどね!だってそんな惚れさせるってどんな男よ・・・?

ホストにハマらなかった私のせいで、子供がその道にハマる・・・?

ここからは後編のネタバレになるので、まだ後編を見てない人は注意。

前編はホストクラブの仕組みについてがメインテーマだったが、後編はホストにハマった彼女たち自身について掘り下げた内容になっている。

なぜお金で繋がった偽の愛なのにそこまで入れ込むのか、という問いに、彼女が答えた「むしろ与えた分だけ返ってくる関係は分かりやすくて安心する」という答えはとてもしっくりきた。

頑張った褒美に愛してくれる、という親と過ごすうちに、無償の愛が信じられなくなったという。

これを聞いたとき、親としてドキリとした。

私は子供が私にとって都合のいいことをしたときにだけ褒めてないだろうか。

顔色を伺わして、都合のいい子にし、無償の愛を信じられない人間にしてしまってないだろうか。

彼女を一概に不幸だとは思わない。

打ち込めるものが人生に一つあるというのは、生きがいがあるというのは、それが何であろうととても素晴らしいことだと思う。(人に危害を与えない限り)

だから彼女たちを否定はしないが、自分の子はやはり愛を知り、愛されたり愛を与えられる人になってほしいと思うのは、私だけでなくほとんどの親の願いではないだろうか。

私は親から無償の愛を受け、初めて会う人もみな自分を好意的な目で見ているだろうと信じて疑わない子供だった。

愛を与えるということを意識していなかったがために、子供には無償の愛を与えていられなかったかもしれない、と気付かなかった。

それに気付いたからと言ってすぐ全ての行動を変えられるわけではない。

けれど、ねほぱほを見たあと、子供と接するときのひとつの行動の指針になっていると思う。

やっぱりあの一言に尽きる

「私の推し見ますかー?写真いっぱいありますよー!」とモグラたちにスマホを見せる彼女たちはすごく楽しそうで、決して騙されたり愛することに疲れているようには見えなかった。

むしろ好きなものを全力で愛せる彼女たちは微笑ましく少し羨ましくもあった。

彼女たちを可哀想な人、ニセモノの愛に騙される馬鹿な人と指差す人はいるかもしれない。

でもこれを見る限りは、私は彼女たちの人生においてこれが正解で幸せな生き方なのだと思った。

人間って面白い。