本編では明言されていない謎が多い!
フルーツバスケットは短いモノローグ(心の声)が多くあります。
そのため時々「今のはどういう意味だ…?」と疑問に思う方も多いかと思います。
例)『勇気をださなきゃ。蓋は閉じない。もう、止まらない』(第114話:透のモノローグ)
「これどういうこと?何に蓋しているの?何が止まらない?」という疑問をスルーして読み進めた私のような人もいるかと思います。
そこで今回はそういった明言されていないモノローグの意味や謎、それから豆知識を解き明かしていきたいと思います。
なるべくサクサク読めるようにしておりますので、どうぞご覧ください!
「これいつの話だっけ?」や「これ何話だっけ?」と疑問に思われた際は、年表も作っておりますので参考にしてください。
注意!!ネタバレがたくさんあります!!アニメからの人はここで回れ右も吉!
目次
- 豆知識
- 主要キャラクターたちの年齢(一部考察)
- 十二支メンバーの名前の由来は?
- 謎
- 透の閉ざした蓋(心)とは
- 由希の閉ざした蓋(心)とは
- 神楽の”つじつま合わせの恋”とは
- なぜ透の前に悲しげな今日子の幻影が現れたのか
- 慊人はなぜ透が家に住むことを許可したのか
- 紫呉はなぜ透を家に住まわせたのか
- 紫呉はなぜ慊人に冷たく接するのか
- 夾が由希を嫌う理由
- なぜ慊人は絆に執着したのか
豆知識
主要キャラクターたちの年齢(一部考察)
物語では3年間経過するので、透を基準として表しました。
紫呉、綾女、はとり…透の10学年上
紅野…透の9学年年上
利津…透の4、5学年上
神楽…透の2学年上
慊人、依鈴…透の1学年上(慊人の年齢は下記の考察を参照)
由希、夾…透と同学年
紅葉、潑春…透の1学年下
杞紗…透の4学年下
燈路…透の5学年下
慊人の年齢はファンブックにも公表されていません。
そのため下記のセリフと絵柄より考察しました。
・慊人が女だと知ってる十二支はこの三人と俺だけ。利律は…まだ小さすぎてよくわからなかったみたいだ
・まだ自分の妊娠を知らない楝さんの元へ行って泣き続けた
(第98話:紅野)
この時出てくる利津の描写は、立って誰かと手を繋いでいました。恐らく1~3歳でしょう。
その約1年後(10ヶ月後)慊人が誕生するならば、慊人の年齢は依鈴と同い年かその1つ上(神楽と同い年)かと考察されます。
これでは定まらないのでもう一つ考察をします。
それは楝と依鈴の関係です。
楝はわざわざ依鈴に柄にもなく優しい言葉をかけたり、嫌っていたりします。
昔からあの子は気に喰わなかったのよね…生理的に
(第106話:楝)
なぜ生理的に嫌うのでしょうか。
我が子である慊人と同い年で、かつ慊人と同じ黒髪のため、慊人が女性として生きていたらこんな風貌なのではと思って嫌っていたのでは…?
これらの条件から、依鈴と慊人は同い年だと考察します。
十二支メンバーの名前の由来は?
- 由紀…例外で意味は無し。「ゆき」という音が作者の頭に降ってきたとのこと。
- 潑春…1月から初春(はつはる)
- 杞紗…2月の和風月名である如月(きさらぎ)
- 紅野…暮れの春(陰暦3月の異称)
- はとり… 木葉採月(このはとりづき、4月の異称)
- 綾女…菖蒲月(あやめづき、5月の異称)
- 依鈴…弥涼暮月 (いすずくれづき、6月の異称)
- 燈路…文披月(ふみひろげつき、7月の異称)
- 利津… 小田刈月(おだかりづき、8月の異称)
- 紅葉…紅葉月(もみじづき、9月の異称)
- 紫呉…時雨月(しぐれづき、10月の異称)
- 神楽…神楽月(がぐらづき、11月の異称)
明言されていない謎
透の閉ざした蓋(心)とは
透が誰にも言えず蓋をしたものは何だったのでしょうか。
それは2つあります。
- 父親を悪者のように思っていたこと
- 一番に想う人が今日子ではなくなってきていること
1、父親を悪者のように思っていたこと
なんで母親の写真だけ持ち歩いてる訳?両親とも亡くしてるんでしょ?父親は持たない訳?アンタって何かと言えば”お母さん お母さん”だよね。
(第55話:燈路)
燈路のこの言葉に、透は明言を避け笑ってごまかします。
この理由は、父親を悪者扱いすることで今日子がいなくなってしまう不安を消すためでした。
お母さんを連れて行ってしまうんじゃないかって、勝手に思って…。
自分が安心したくて、勝手にお父さんを悪者扱いする私は…最悪です
(109話:透)
蓋をしていた汚い自分の心を、夾に打ち明けたことで、透は夾への恋心をより強くなります。
ここからわかるように、透は今日子が勝也の死により自暴自棄になり、自分を置いて家を出て行ったことが大きなトラウマになっています。
置いて行かれる恐怖を知っている故、のちに慊人と心を通わせます。
2、一番に想う人が今日子ではなくなってきていること
もう一つは、今日子を亡くした時に透が心に誓ったものです。
”いつもお母さんを一番に想おう。そうすればお母さんがいた証はなくならない”と思い込むことで、母を亡くした心を折れないようにしていました。
その為、夾への恋心が芽生えるたびに、その恋心にきつく蓋をしました。
依鈴に「おまえの一番大切なモノって何?」と聞かれ言葉に詰まってしまった夜、動揺によって今日子に置いて行かれる悪夢を見るほどでした。(第82話)
どんなにどんなに誓ったって 時は動き褪せていく 残酷なほど そんな事実が悲しくて悲しくて…なのにもう 止まらない。
お母さんを一番に想っていた私は”思い出”になっていく
(第114話:透)
慊人と同じく不変を求めていたことで、慊人の気持ちがわかった透は、慊人と心を通わせるきっかけになります。
由希の閉ざした蓋(心)とは
透を母親のように思っていること
俺にとってはやっぱり ”異性”である前に”お母さん”みたいな存在だった。自分の…そういう考えに気づいたとき戸惑った。すごく恥ずかしくて…認めたくなくて…蓋をした…
(第86話:由希)
これに気付いたのは、透が初めて夾の”本来の姿”を見て追いかけた背中を見たときです。
そして蓋を開けたのは、夏休みに別荘で慊人に会った時(第59話)です。会話を思い出してみましょう。
慊人:”いつか救われる”なんて勘違いしないで
―――
由希:勘違いじゃないって信じたい。痛みにどれほど打ちのめされても。優しさは降り続けていたんだ あの日から ずっと
ありがとう いつも 俺の話をきいてくれて。ありがとう 俺の弱さをいつも受け止めてくれて。あの瞬間だけは必要としてもらえた それがどれほど どれほど嬉しかったかなんてわからないだろ?知らないだろ?いつだって 救われていたのは俺の方だってこと
進んでいける 前へ 信じていける きっと
透:けれどどうして…どうしてそんな…悲しそうになさるのですか…
由希:それは君が あの空のようだから 悲しいくらい 君が愛しいから
愛しくて触れた唇 終わりと 始まりのしるし
(第60話:由希)
由希は透に”救われた”と思っています。
幼少期に迷子の透を救ったことさえ、自分が救われたと思っています。
そして無償の愛を降り注ぎ続ける透を、母のように甘えられる場所としてとても愛おしく思っていました。
しかし、自分のその感情をとても恥じて蓋をします。
なぜなら自分と透の目線が違うのが寂しいから。
由希は透に与えてもらうだけではなく、対等の目線で自分も透に何かを与える存在になりたいからです。
別荘(第59話)で由希は慊人に「いつまで勘違いしているつもり?」と問われた由希は、「勘違いなんかじゃない。救ってくれる存在はあり、そしてそれは透で、つまり自分は透を救い主と思っている」と思っている自分を肯定します。
つまり蓋をした「透を母としている」という想いを開け(自分の心についていた嘘の終わり)その上で自分も何かを与える存在になれるよう歩き出します(自分の道を歩く始まり)。
潑春曰く「巣立ち」です。
神楽の”つじつま合わせの恋”とは
神楽、つじつま合わせの恋はもうやめたら。見ててイタい。
(第60話:依鈴)
これは夏休み、別荘に行こうと誘う神楽に依鈴が言う言葉です。
神楽が夾と遊んでいたのは、猫憑きに比べたらまだ自分の境遇はマシだと実感するためでした。
夾の本来の姿を見て逃げ出したときに、自分の心の汚さに気づき、それを無かったことにしたかったため夾を追いかけるようになりました。
夾君が私を好きになってくれれば「逃げた自分」も「汚い自分」も無かったことになるんじゃないかって思ったの
(第68話:神楽)
つじつま合わせの恋で始まりましたが、いつしか神楽は、そんなことが関係なく本気で夾を好きになっていました。
なぜ透の前に悲しげな今日子の幻影が現れたのか
夾が透に幻滅だと言い、入れ違いで刃物を持った慊人が現れたシーンです。
置いて…いくのか…っ
(第121話:慊人)
そう言う慊人に、透は今日子の幻影を見て辛そうな表情をします。
なぜ慊人に今日子を重ねたのでしょうか。
この今日子は以前にも描かれています。
第114話、籍真の家で依鈴に夾への想いを打ち明けたのち、隠れて聞いていた神楽に殴られ卒倒したあとのシーン。
夾に思いを告げるため勇気を出そうとしたところで今日子の幻影を見ます。
透は今日子を一番に想うことで、今日子との絆を繋ぎとめようとしました。
しかし一番が夾に代わることで、今日子との絆が切れる恐怖を感じています。
その恐怖が”悲しげな今日子の幻影”として表れていたと考えられます。
慊人はなぜ透が家に住むことを許可したのか
「外」の世界へ出て行って、「外」の世界に触れた十二支がほかの何にも惹かれることなく、がんじがらめに縛り付ける陰気なあんたの元へ戻ってくるって本当に信じてるなら…そのサマを私に見せつけて勝ってごらんなさいよ!
(第117話:楝)
この言葉に対し、慊人は「絆は壊せない」と祈りながら、それを試すために「外」の存在である透を利用しました。
しかし慊人の願いとは裏腹に、十二支たちの心は慊人から離れていくのでした。
紫呉はなぜ透を家に住まわせたのか
“余裕かまして フラフラしてなきゃ 爆発しそうになる”(紫呉:第132話)
紫呉は慊人を自分だけのものにしようとしていました。
そしてそれを叶えるためには、呪いが邪魔だと考えていました。
異分子である透を巻き込むことで、十二支たちが自立し慊人から離れていくことを願っていたのです。
また、最後に慊人が自立する助けになるのも透だと思っていたのかもしれません。
母との絆を守りたいと願いながらも前に進む透と、十二支の絆に固執しそこから離れられない慊人が、少し似ていると感じたのかもしれません。
紫呉はなぜ慊人に冷たく接するのか
僕はあの子の父親になりたいわけじゃないんだよ。慊人が君のように寛大で、紅野のように無心な、そんな優しさを僕に求めているのだとしても、無理な話だ。
(紫呉)
紫呉は、慊人が十二支に対して、父の愛情(=無償の愛)を求めていると察知していました。
しかし紫呉が欲しているのは、慊人が父の呪縛からも解かれ、紫呉を女の欲から欲することでした。
父親のような無償の愛は与えない、狡くてお子様な自分のことも愛せるか、と試していたのかもしれません。
十二支の呪縛から慊人自身も解き放たれ、父としてではなく異性として紫呉を求めたとき、やっと二人の心は結ばれます。
おめでとう。 新しい貴女を 歓迎しますよ
(第132話:紫呉)
夾が由希を嫌う理由
夾が由希を嫌う理由は、時期によって異なります。
幼少期:大事にされる鼠憑きへの嫉妬
今日子事故後:今日子を助けなかった自責の念を由希に責任転嫁したかった為
慊人と対話後:「由希を倒せば仲間に入れる」と慊人と約束した為
”嫌な存在”がいてくれないと 自分が困るんだろ?”味方”だの”いい”だの”悪い”だの くだらない。そんなモンにこだわって生きてちゃ おまえが勿体ないよ。
(第119話:今日子)
由希が何かをしたからではなく、嫉妬から嫌っていました。
そして由希も、ただ友達になりたかったという憧れの気持ちや、人を惹きつける夾への羨望の気持ちが歪んで嫌っていました。
なぜ慊人は絆に執着したのか
慊人は十二支を統べる存在ですが、過剰なほど十二支との絆が切れることを恐れます。例を挙げると
- 紅野の呪いが解けたときは泣き叫び取り乱します
- 紅葉の呪いが解けたときも息も絶え絶えに言葉に詰まりながらすがる
- 由希が自分の未来を口にし前向きな話をしただけで激昂し暴力を振るう(第95話)
- 自分以外の女性を一番に想うと暴力を振るう(はとり、潑春、燈路)
これは慊人の家庭環境に由来します。
慊人は父である晶に一番好かれていると思っていましたが、死の淵に立つ晶の言葉で”父にとっての一番大切な存在は母であった”と気付きます。
欠けた父親からの愛を埋めるために、十二支の男性たちに父代わりの安らぎを求め、それを奪おうとする女性には過剰に敵意を向けるようになったのでした。
そして自分と十二支を結びつけるものは呪いしか無いとわかっており、孤独を恐れたため絆にしがみついたのでした。
”約束”も”絆”も”永遠”も無い他人なんかと生きていくなって…恐い…恐いよ。愛される保証もないのに、そんな他人に囲まれて生きてなんかいけない…いけない…っ
(第121話:慊人)
最後に
モノローグが多い点がフルーツバスケットの魅力だと私は思います。
ぜひアニメで知ったという方は漫画を読んでみてくださいね。
「呪いが解けたあとってどうなったんだっけ?」とか「慊人っていつから由希に冷たいんだっけ?」などわからなくなったときは、年表を作りましたのでこちらをご参考にしてください。