はじめに

子供を産むことにおびえる今日子に、勝也が言ったこのセリフ。
みなさんは覚えているでしょうか。

産まれてくる子が一人の個人(にんげん)なんだって事をわかってる今日子は、大丈夫だよ。
同じ人間同士、自分がしてもらって嬉しかった事、自分がされて悲しかった事を忘れないでいてあげよう。
たくさん抱きしめて触れて、話を聞いてあげよう。
悪いことをしたら、なぜそれが悪い事なのかをちゃんと教えてあげよう。
もしそしててもし感情にまかせてぶってしまったりした時は、ちゃんと謝ろう。
そしてまた抱きしめよう。そうやって育てよう。

(第92話:勝也)

フルバは母親の存在感が強い

フルーツバスケットはほかの少女漫画に比べて、キャラクターの親たちが多数登場します。

そこに登場するのは、今日子のように子供やその友達を愛した明るい母親だけではありません。
楝のように親子間で忌み嫌い合う母親や、子供を威圧する由希の母のような親もいました。

連載当時は少女だった私も今では母親になり、子育てに翻弄する中、子育てに対する自分の姿勢で悩むことも多くなりました。
子供のためとつい怒ってしまったり、過保護になっているのではと夜に後悔したり…。

そんな時に思います。
「あぁ、私は今日子のようにはなれない…」「もしかして私、このままでは由希の母親のように、毒親になってしまうのではないか」

親はどんな親を目指せばいいのか

そもそも「良い親」と「悪い親」とはどう決まるのでしょう。

悪い母親として思われる由希の母親ですが、息子を偉い人(御当主=慊人)の傍にいられるように手配し、良い大学に進めるように考え行動したことは、考え方によっては毒親などではなく「良い母」と言えるかもしれません。

燈路の母はいつも笑顔で良い母に見えますが、その頼りなさ故、 燈路は同年齢の子よりとても大人びた言動で人を傷つけるような子供になってしまいました。
これを「悪い親」と言う人もいるかもしれません。

こう見てみると、「悪い母」「良い母」というのは見方によって変わります。では親はどんな親を目指せばいいのでしょう。

それは、冒頭に記した勝也の言葉に表れています。
「子供が一人の個人であることを理解し、尊重すること」

「それって具体的にどうすればいいの?」と思いますよね。

そこで今回の記事では、子供を一人の人間だと忘れた親の例を挙げ、どうすれば良かったのか考察・検証したいと思います。

また、フルバには毒親が多く登場しますが、その子供たち(フルバのキャラクターたち)は皆、ラストでとても明るく前向きな顔をしていますよね。
毒親の支配にあった過去がありながらなぜそんな笑顔ができたのか。
こちらについても最後に考察しています。

目次

  • はじめに
    • フルバは母親の存在感が強い
    • 親はどんな親を目指せばいいのか
  • 目次
  • 子供が個人だということを忘れた例その1:由希の母
    • 由希の母親の子育て環境を考えてみる
    • 最初は心から由希のための行動だった
    • 由希にとっていい親になるための解決策:由希を一人の人間として尊重する
    • 理想の由希母と由希の会話イメージ
  • 子供が個人だということを忘れた例その2:依鈴の母
    • 何より先に必要な”心の余裕”
    • 誰のために幸せな家庭を演じたのか
    • 依鈴の母が家庭内暴力に走らないための解決策:まず自分自身を大切にする
    • 楽羅の母と依鈴の母の会話イメージ
  • 夾、杞紗、慊人、紅葉、真知の親の問題点と解決策
  • 最後に  ”生きていく限り 何か起こり続ける”

子供が個人だということを忘れた例その1:由希の母

由希の母親の子育て環境を考えてみる

由希の母親は子育てに関して息苦しさやストレスを感じていたと考えられます。
なぜなら病弱な由希の看病と、自由奔放な綾女の教育に頭を悩ませていたからです。

由希はもともと体の弱い子でした。
喘息を患っており外で遊ぶことがあまりできない子だったと描かれています。
友達もなかなか作れずおそらく親とお手伝いさんと一緒に家でひっそりと暮らしていたのかもしれません。
「ろくに生活もできず、この子は将来やっていけるのだろうか」と不安になることもあったでしょう。

そして彼女は第一子に綾女という生まれきっての手に負えない子がいました。
由希の三者面談でも、母親は綾女に対して大きな拒絶反応をしていました。
そこからも察するに、中学から常識外れの考え方をしていた綾女ですから、綾女が幼いころから常識人の母親の頭を悩ませていたでしょう。

最初は心から由希のための行動だった

慊人に初めて会った時、由希は涙を流します。
そんな由希を抱きすくめる慊人との絆を見て、由希の母親は
「この人になら由希を託せるかもしれない」
そう考えたのかもしれません。否、そう考えたくなったのかもしれません。
「自分のためではなく由希のため」という理由で病弱で困った我が子から解放されたのですから。

決して自分の為だけではなく、由希のことを思ってのことだったでしょう。
「良かったわね由希。ご当主に気に入られて」と笑顔で頭を撫でる由希の母親は、おそらく本当に悪い気持ちではなかったんだと思います。

なぜなら慊人は大人たちの前でいい顔をしていますし、なにより草摩家という大きな家の当主です。
その当主に気に入られるということは、由希の将来にとって悪いことであるはずがない、そう考えたのでしょう。

そのためいくら由希が帰りたいと言っても、その言葉を聞き入れることはありませんでした。
その結果由希は母親に心を閉ざしてしまいました。
そして自由な生活に味を占めた母親は、いつしか由希のためではなく、由希に対して自分本位な言動をとるようになってしまいました。

由希にとっていい親になるための解決策:由希を一人の人間として尊重する

由希の母親は、慊人に気に入られることが最善だと思い、由希の気持ちは無視し続けました。
その結果、由希に残ったのはトラウマです。
人と壁を作るようになったり、萎縮したり、劣等感を持つようになってしまいました。

では由希の母親はどうしたら良かったのでしょうか。
それはやはり、冒頭の勝也の言葉に示されています。

「たくさん抱きしめて触れて、話を聞いてあげよう。」

本当に大事なのは将来の立ち位置や立場ではなく、今の当人の気持ちなのだと思います。
なぜなら外部の状況は変わる可能性があるからです。

例えば慊人に気に入られること自体が意味をなさなくなる可能性があります。
楝派もいる中では楝が力を得てくる可能性も少なからずありましたし、慊人の身に何かあるかもしれません。
実際に呪いが解けた後、草摩から出ていく人にとって当主に気に入られているか否かはさほど重要な問題ではなくなりました。

このような状況や環境の変化はどうすることもできません。
ですから先行き不安定な将来の社会的立場より、由希の気持ちを最優先させるのもひとつの正解かと思います。

例えば慊人の家から帰ってきた後の由希の様子はどうなのか注目してみると良かったのかもしれません。
楽しいのか辛いのか。抱きしめながら聞くと良かったのかもしれません。

由希は母に訴えていました。

お母さん、ぼくもおうちに帰りたい。あの部屋はイヤだよ。慊人がこわいことばかり言うんだ。お母さんおねがい…。たすけて。
(第72話:由希)

これだけの直接のメッセージをもらっても、きっとこう思っていたのでしょう。
「またワガママ言ってるわ。御当主に気に入られる事が、どれだけ名誉なことで将来のあなたにとって利益になるのか解からないのね」

高校や大学を勝手に決めようとした時も、きっと悪意はありません。
由希のために良い学校を考え選び与えてあげたい、ただそれだけだったのでしょう。
そしてそれを拒否した由希を、子供の反抗とみなしました。
なぜなら由希に自分で決定ができるような能力があるとは考えられず、由希を信じられなかったから。

決めてあげてるんじゃない。あなた一人じゃ何にも決められないでしょ?決めたと思ったらこんな無名な高校行ってみたり…あなた本当に昔っから自分の考えなんて持ってないわよね。ただ反抗したいだけなら黙っていなさい
(第72話:由希の母)

子供だって考える力があり、本人の意思を尊重したり一緒に考えたりしてもいいのかもしれないと気付けたなら。
そうしたら由希との関係性は変わってきていたのかもしれません。

それが分かるのは三者面談の時です。三者面談で由希が母親を追いかけまっすぐ目を見て言います。

俺はこの世界に生きてて参加したくて、参加するためには努力だって必要で努力をしたいって思ってる。その結果があなたには気に入らないものになるのかもしれないけど、俺にとっては誇りになるように。どこを受けるかは自分で考えてみつけるから
(第72話:由希)

自分の意見をまっすぐ伝えた時に、由希の母はそれに驚いた表情をしていました。
あの驚きはきっと
「こんなに物が言えるようになったのか…そんなに色々考えることができたのか…」
と成長に対して驚いていたのだと思います。
人間性や考え方の成長に今やっと気付いて、それが由希との関係性が変わるきっかけになったのでしょう。

やはりこの母親に必要だったのは、由希を何も考えられない子供だと見ず、一人の人間として尊重し話をすることだったのです。

理想の会話例イメージ

もし「慊人の部屋はこわい。たすけてお母さん」と泣きつく由希と話ができていたら。

ーーーーー以下イメージーーーーー

(別室に移る由希と母)

母「そう、こわいのね。どんなことを言われるの?
由希「この世は真っ暗とか、誰もぼくなんかいらないとか、みんな僕のこと嫌いとか…」
母「それは酷いわね…大丈夫、お母さんは由希のこと大好きよ。それに友達も元気になったらきっとできるわ」
由希「ほんと…?」
母「本当よ。大丈夫。でも御当主の所で御当主と仲良くするのも、きっと由希にとって将来いいことがあるとお母さんは思うけど、どう?
由希「うん…」
母「由希が行きたくなかったら帰ってもいいのよ。由希の気持ちが大事だからね」
由希「…慊人もさみしそうにしてるときがあるんだ。今日も紫呉に抱っこされてた…。僕がいないとさみしがるかな…。でも今日は帰りたい。それで明日また行ってみるよ
母「(人を思いやることもできるようになったのね)由希は優しい子ね。わかったわ」

こんな会話ができていたなら。
そうしたら由希の自己肯定感も保たれたかもしれないし、トラウマも残らなかったかもしれません。
母親に心を閉ざすこともなかったでしょう。

しかしこれにより、もしかしたら由希の母親は草摩から受け取るお金が減ることもあったかもしれません。
慊人の怒りを買ってしまうこともあったかもしれません。
そしてもちろん、身体的にも精神的にも疲れ果てた由希が部屋を飛び出し、迷子になった透に会うこともなかったかもしれません。

なにがいいのか、何が悪いのか・・・正解は生き続ける限り出ません。
しかし母が子供の話を聞いてあげるだけで、子供の心は大きく救われたでしょう。

(本当は父親に対してなにをしていたの?とは聞きたいですが…。片親だけでは子供二人(しかも病弱で物の怪憑き)の世話はいくらお手伝いさんがいても大変です。周りのサポートが少なからず必要だと思います。父親の描写がないぞ怒)

子供が個人だということを忘れた例その2:依鈴の母

何より先に必要な”心の余裕”

わからないから。どうやって愛したらいいのかわからないから
(第79話: 依鈴の母 )

八つ当たりで殴られたり笑われたりないがしろにされたらおまえらとおんなじように子供だって傷つくんだって、なんでそんな簡単なコトもわかんねぇんだよ!!あやまれ。あやまれよ…!リンにあやまれ!!
(第79話: 潑春 )

依鈴の家の家庭崩壊、家庭内暴力。
それが起きてしまった原因は、この幼い潑春の言葉に表されています。
おそらく依鈴をもののように扱い、依鈴の気持ちなど無視したことで起きてしまいました。

しかしこの場合はそれ以前の問題があります。
それは、母親に相手の気持ちを思いやるだけの心の余裕がなかったという点です。

先ほどの例に出した由希の母親も、最初から思いやりの心がなかったわけではないと思われます。
先述したように「長男は扱いづらく次男は病気。しかもどちらも物の怪憑き」というとても子育てにストレスがかかっている状態でした。
つまり心の余裕が少なかったことが予想されます。
自分のことでいっぱいいっぱいになり、子供と向き合い思いやることができなかったのでしょう。

誰のために幸せな家庭を演じたのか

物の怪に憑かれた子供を持った「お母さん」は、不必要なほど過保護になるか、拒絶するかのどっちかが多いんだ
(第23話:紅葉)

依鈴の両親は、物の怪の子供が生まれたときまず拒絶したのだと思います。
しかし我が子を拒絶する冷徹な自分など許せなかった。
そのため自分の気持ちに嘘をついて、子供を愛する親を演じつつけたのでしょう。
それを無邪気に受け入れ続ける子供に、我慢が爆発したのだと思われます。

誰の為だと思ってんのよ!!誰のために毎日毎日努力して…ふざけんじゃないわよ!!
(第78話:依鈴の母)

この言葉には少し違和感があります。
誰のために努力(=演技)を続けたのか。

もちろん依鈴の為もあるかと思いますが、自分の為という面も大きかったと思います。

依鈴の母は、子供を拒絶する自分自身を「母として失格だ、ひどい人間だ」と責めたくなかったのかもしれません。
世間から冷たい目で見られたくなかったのかもしれません。
夢見た暖かな家庭を作りたかったのかもしれません。
しかしそれは全て自分のため。

自分のためにすることが悪いことだと言いたいわけではありません。
つまり、癒しや救いが必要だったのは、依鈴ではなく母親だったのです。

依鈴の母が家庭内暴力に走らないための解決策:まず自分自身を大切にする

もし母親が、物の怪の子供を持つ悩みや辛さを誰かに吐き出せていたなら。
子供を拒絶する気持ちを吐露できていたら。
夫には話していたようでしたが、どうしても夫では客観的なアドバイスや共感は得られなかったのでしょう。

例え子供の月齢が近く、同性の物の怪憑きの子を持つ楽羅の母親と話ができていたら。
(神楽は依鈴の1つ年上です)

楽羅の母と依鈴の母の会話イメージ

依鈴母「もう辛くて…そう思ってしまうことが子供にも申し訳なくて毎日泣いてるんです…」
楽羅母「わかります。旦那も抱っこすると猪になる子供なんて見れないとか言って全然抱っこしてくれないの。夜泣きで寝られないし抱っこで腕も痛いし辛いですよね…」
依鈴母「うちも旦那が少し家事とか協力はしてくれるんですがでもやっぱり抱っこはしてくれないので寝られないです…。みんなそうなんですかね。そういえば、物の怪がついている 男の子のお母さんは、いつも授乳とか抱っこの時、物の怪ですよね…大変
楽羅母「ほんとですね…。まだ女の子でよかったと思いましょうか。そのせいで旦那は使えないけど」
依鈴母「ふふっ。本当ですね」

こんな風に少しずつ辛さを吐き出せていたなら。
辛いと思うことが普通で、悪いことでない、自分を責めなくていいと気付けていたなら。
心に余裕ができ依鈴を思いやることもできたかもしれません。

つまり必要なのは、母親が自分自身を一人の人間として尊重することなのです。
「こんな自分はダメだ、こんな風に思ってはいけない」
と押さえつけるのではなく、
そんな自分も仕方ない。ではどうしたらいいのだろう。私はどうしたいのだろう。…誰かに辛いと打ち明けたい。子供と少し離れていたい。でも幸せな家庭を作り続けたい
と自分に優しく正直になると良かったのだと思います。

人に優しくするには、まず自分に優しくする必要があるのです。

夾、杞紗、慊人、紅葉、真知の親の問題点と解決策

他の親たちの問題点と解決策を簡単にまとめてみました。

夾の母

〈問題点〉
夫からのDVと子育ての辛さから命を絶ってしまい、それにより夾の心にトラウマを作った。

〈解決策〉
夾のことを愛しているあまり、自分のせいで夾をひどい目に遭わせてしまっていると自分自身を責めてしまいました。
必要なのは依鈴の母と同じく母親の救いでしたが、猫憑きで夫があの状態では難しかったと思います。彼女の責任はほぼ無いでしょう。

解決策は彼女自身を助けてくれる人を、だれか見つけることだったと思います。
彼女の親か、だれか。
生き続けていれば、夾の師匠となる藉真のような人にも出会えたかもしれません。

死んでしまったら、もう何も試せない。取り戻せない。生きていて、ほしかったよ。
(第126話:夾)

つまり彼女ができる解決策は、自分を慰め大切にしながら、とにかく生き続けることだったのかもしれません。

(一族から忌み嫌われる子供の子育てをDV夫の側で…夾母の環境がハードモードすぎる…)

杞紗の母

〈問題点〉
杞紗がいじめられていたと知ったとき「なんで何も言ってくれないの?もういや…」と杞紗を責めるようなことを言ってしまった。

〈解決策〉
依鈴の親と同じく、親自身に余裕がなくなっていたと思われます。
透という”全てを知っていながら子供を大事に思ってくれる存在”によって母親も少し救われたようでした。
この親にも必要なのは自分自身のゆとり=自分自信を大切にすることでした。

〈問題点〉
これは親子間の問題とは言いにくいです。
楝は慊人を一度も抱いていないようですし、身の回りの世話も一切せず周りの従者たちがしていたようです。
つまり母らしいことは何一つしたことがない。

楝が我が子を嫌うのは産まれる前…むしろお腹にできたその日かと思われます。あの、紫呉と綾女とはとりと紅野が涙を流しながら楝のお腹に手を伸ばした日。

たくさんの異性に囲まれて愛されるって約束された我が子に女として嫉妬しているんだよ
(第115話:紫呉)

そうです、これは親子間の問題ではなく女の嫉妬の話です。

守り守られる、教え教わる、無償の愛が存在しやすい親子関係ではないので、ここで語るのはテーマ違いかと思います。

紅葉の母

〈問題点〉
紅葉の母も親子間の問題とは言えないかと思います。
紅葉がどんな人間だろうと関係なく、”物の怪憑き”という点で拒絶していたからです。

大好きな人との子間にできた子供を産んで、その子供を抱いたら、奇妙な動物の赤ちゃんになってしまうなんて、それって…「お母さん」にとってどれくらい絶望的なことなのかな。
(第23話:紅葉)

お互いの人格以前の問題なので、これは親子間や人間関係の問題ではなく、物の怪憑き故の不幸の一つと言えるかもしれません。

いっそ忘れて言って願いたくなる思い出でも、ちゃんと背負って、逃げないでがんばればいつか…そんな思い出に負けないボクになれるって信じてるから…信じていたいから。だからホントはママにも忘れてほしくなかった。がんばってほしかった。
(第23話:紅葉)

上記の紅葉の言葉は一つの正論かと思います。
しかしこれを言え、現実から逃げないでいられるのはある程度の強さを持った人だと思います。
産後でホルモンも崩れ、ただでさえ情緒不安定な母親には難しかったのでしょう。

真知の母

〈問題点〉
真知に対して「完璧」でいることを求め、真知が不要になったときに「育て方を間違ったのかもしれないわね」と突き放した。

〈解決策〉
依鈴の母と同じく自分に余裕が無い状態だったのがまず問題点です。
真知の父は愛人を作り、その間に翔が産まれました。
子供がいない真知の母はそれは脅威に感じたでしょうし、悔しく苦しかったでしょう。
そんな中で自分が産んだ子供は女の子。
真知も息苦しさを感じていたでしょうが、おそらく母も同じく何かに追われるような気持でいたと思います。

そのためまず必要なのは母親へのサポートとケアだったと思います。(まずは不倫するような旦那の対処ですが…)

また、男の子が産まれ跡取り問題が解決した後も、親子の関係は良くなりませんでした。
それは由希の母と同じく、子供が意思や思考を持っていることを解からずにいたことが問題だと思われます。

跡取り問題が解消し、心に余裕が生まれた真知の母は、真知を嫌ってはいませんでした。
一人暮らしの娘を気遣い電話も頻繁にかけていたようです。

「まただんまり?ホント何考えてるんだか…真知は変わらないわね」
(第94話:真知の母)

もし一人の人間として相手にしていた場合、相手が黙り込んでしまったときは

「どうしたの?何かあった?」や「何をかんがえてるの?」「気に障ることを言ったかしら・・・?」と質問するでしょう。

それを「何考えてるんだか…」と言ってしまうのは
「どうせ何も考えずぼーっとしてるんでしょう」と決めつけてしまっているからです。

由希の母親と同じく、子供を一人の人間として対話し、理解しようとする姿勢が必要だったのだと思います。

(真知の回の102話読み返したら涙が・・・良かったね真知。頑張ったね真知)

最後に
~生きていく限り 何か起こり続ける~

親によって不幸な幼少期を送ったりトラウマを植え付けられたキャラクターたちですが、エンディングの時には不幸な顔をしている人はいません。
皆前向きに今を歩んでいます。
なぜでしょうか。

それは、彼らが自分で親以外のいろいろな人に出会ったからです。
由希は翔や真知に出会い、依鈴は潑春や透に出会い、夾は藉真や今日子に出会い、真知は由希に出会いました。そして透に出会ったことで変われた人もたくさんいました。

透も、今日子の記憶が消えることを恐れるあまり恋心に蓋をしていましたが、前に進むことができたのはいろいろな人に出会えたからです。

親がどんな人で何をされようが、何を言われようが、死別しようが、その後に出会う人たちとの過ごし方で、子供の人生はいくらでも変わります。
トラウマも消せます。傷も癒せます。

ですから私と同じく「毒親」になることや自分のせいで子供の人生を悪くしてしまうと悩むお母さん方。大丈夫です。

「明日じゃなくて明後日かも… 一年後かも 十年後かもしれないけれど それでも生きていく限り 何か起こり続けるから 生きている 限り 願いは生まれ続けるから…っ
(第75話:透)

そうです。生きていく限り、誰かに出会ったり、何かが変わったり、何かが起こり続けるのです。

母親は自分の接し方や教育で子供の将来が大きく変わると思ってプレッシャーを感じる人が多いかと思います。
ですが実際はフルバのキャラクターたちのように、人生は親だけでなく、親以外の人からもたくさん影響を受けます。

ですから自分なりに子供と向き合いながら(冒頭の勝也の言葉をお手本にしてもいいですし)、明日へ明日へと命を繋げばいいのだと思います。

私を含む、子育てに奮闘するフルバファンのお母さん方。
自分をとっても大事にしながら、明日も頑張りましょう!

当サイトには、フルバについての考察記事もいくつかあります。

フルーツバスケット~透が存在した本当の理由~
フルーツバスケット謎考察&豆知識~明かされていない慊人の年齢、閉じた蓋の正体etc~
フルーツバスケットanotherはなぜ読みにくい?

どうぞご覧ください。