はじめに
『ミッドナイト・セクレタリ』は、大海とむによる日本の漫画作品。 2006年から2009年に、『プチコミック』で連載されました。
敏腕秘書の女性と吸血族の男性の恋模様、周囲を取り巻く波乱を描いた作品です。
吸血族が出てくるファンタジーですが、設定と登場人物像がとてもしっかりしており、矛盾を感じることや疑問点もなく、最後もご都合主義では終わらず読後感がとても良い作品です。絵も美しく、魅力的な人物たちと背景で、女性ならワクワクする漫画だと思います。
当ブログでは、「ミッドナイト・セクレタリ」の
- 登場人物の紹介
- ネタバレ
- 考察(花夜はいつから、なぜ、杏平に惹かれたのか、杏平が花夜と結ばれない弊害の変化)
をまとめてあります。ぜひご覧下さい。
この記事はネタバレ(1話~10話)が掲載されています。
その他の記事は下のリンクから参照ください。
ネタバレ①(1話~10話)当記事
考察(8/3時点未掲載)
それではどうぞ♪
1話
秘書にも厳しいことに有名な杏平。そんな杏平の秘書に、優秀な花夜があてがわれる。
最初は秘書などいらないと突っぱねる杏平だが、花夜の仕事のスピードと正確さを見て次第に秘書としての力を認めるようになる。
杏平は女性関係が広くオフィスにも女性を連れ込んでいるが、事後と思われる女性の顔色が悪いことに花夜は気づき不審に思う。
危ない薬でも使っているのではないかとこっそり覗くと、快楽で気を失った女性の首筋に歯を立てて血を吸う杏平の姿があった。
正体がバレた杏平は焦ることなく、花夜に吸血族は人間と違って高貴な一族だと言う。
杏平「恍惚の時、女の血は一番香る。首筋に牙を立てられる時、女が感じるのはエクスタシーだ。血を吸われたなんて気づかない。首には傷も残らない。」
杏平は花夜に、自分が吸血族だと知った上で秘書としてフォローすることを命ずる。つまり食事として女性に月1~2度会うためのスケジュールの調整とフォローを通常業務と別で行うというのだ。
花夜は逆らおうとするが、トーマで働く花夜の母を盾にとられたこと、そして何より、手放したくない優秀の秘書だと認められたことが嬉しくて承諾してしまう。
2話
花夜は秘書として、吸血族の杏平に危険がないように、吸血族のことを調べる。十字架もにんにくも平気、鏡にも映るので吸血族としての弱点は日光だけのように思えた。
しかし、会食の会場が教会だった際、杏平の体調が一転する。同席していた花夜は吸血族が「キリスト教徒の信仰心」に弱いことを発見する。花夜は秘書として上司を守るため、自分の血を差し出す。
吸血によりエクスタシーを感じる花夜だが、杏平は少しの吸血で止めてしまう。杏平は「花夜の血を吸い続けると花夜が持たない」という理由で別の女性を呼び出す。しかし別の女性を呼ぶことに少し心を痛ませる花夜。
3話
花夜は吸血された日のことを頻繁に思い出し頬を赤らめてしまうようになるが、それは単なる食事だと理解し、いずれ理性で対処できるだろうと落ち着こうとする。
杏平は兄の柾己(専務)と不穏な話をしている。少し耳にする二人の会話で、杏平が特に柾己に対して冷たいと感じる。
花夜はその話の内容を深く教えてもらえないが、何かあった際すぐサポートできるよう動いている。反面、杏平から信頼をされず、深い話をされないことを不満にも思っている。
そんな中トラブルで、その件に関する重要な書類が届かなくなった。杏平は花夜に全てを話し、その書類を取りに行くよう命ずる。
花夜は無事杏平に書類を届けられたが、雨の中走ったことで髪がほどけメガネも壊してしまい、素の幼い花夜になってしまった。可愛らしい花夜の姿を見て笑う杏平だが、「子供にしか見えない童顔に皆すっかり騙されるほど、秘書としてのお前は有能だった」と言う。
花夜は秘書としての自分を認め褒めてくれたことをとても喜ぶ。
そして今回の一件で汚れ役を全て買った杏平は、兄である柾己と仲が悪いのではなく、兄を守っているのだと気づく。
4話
杏平の秘書として勤め始めて3ヶ月。「わがままで横暴でいいかげんだが、仕事を評価してくれる。杏平が女を抱くのはただ仕事のため。自分はそれを知っているのだからほかの女性と同じよう快楽に溺れるようなことにならず、仕事に励もう」とつとめる。
杏平はクリスマスの予定を花夜に尋ねる。恋人ではなく母と、というのを隠し、予定があると言う花夜。杏平はその返答に少しむっとし、予定を邪魔するためにクリスマスに行われるパーティーに同伴するよう命ずる。
意地悪に怒る花夜だが、杏平がドレスアップを手伝い、気にしている童顔がわからないようにしてくれたことで許す。
会場はクリスマスムードだが、キリストの信仰心に弱い杏平がなるべく安全にいられるよう気を配り行動する花夜。杏平はそれに気付き、優しい目で花夜を見つめる。しかし聖歌隊の登場で杏平の体調は悪くなり、それにいち早く気付いた花夜は杏平をホテルのベッドに寝かせ介抱する。
花夜は上司としてではなく、杏平を守りたいと思うようになる。杏平も自分の秘密を知り自分のために尽くしてくれる花夜に少し心を許した様子だった。吸血の際思わずキスをしてしまうが、すぐ正気に戻り花夜を冷たく追い返してしまう。
5話
あのキスの意味は何だったのかと悶々とする花夜だが、あれは錯覚であり、お互いその場の雰囲気に気持ちが錯覚したのだと思う。自分の気持ちも、男女の愛ではなく上司として親しみがあるのだと思い込む。
杏平はふと見せる花夜の素の顔を見て思うことがある雰囲気。しかし人間ごときに心を動かされる自分を認められず、花夜を頭から消すように別の女で紛らわそうとする。その後も花夜を避け、花夜は避けられることで寂しく感じている自分に驚く。何日もそんな状態が続き、とうとう涙を流す花夜。そこへ焦ったような杏平が現れ、いきなり花夜にキスをする。
「お前の血が欲しい。お前の血でなければこの飢えはおさまらん。お前の血は相当な珍味らしいな」自分が求められ一瞬喜ぶが、自分ではなく自分の血が特別だと言われもやもやする。
6話
杏平は健康な女性から摂取するために、同じ女性からは月に一度しか食事をしない。そのため花夜だけで杏平の食事を賄うことはできないが、時々1滴だけ花夜の血を吸う。
花夜は別の女性を抱く杏平にモヤモヤするが、これは嫉妬などではなく錯覚だと思い込む。
そこで、オフィスで体調を崩す杏平の母に出会い、母も吸血族だと知る。気分が悪いならばと自分の血を差し出すが、吸血族は異性の血しか飲まないことを知る。
その他にも「吸血族は人としか子を宿すことができず、子供は吸血族になるか人間になるか半々の確率。吸血族は人を愛さないので、子を成したあとは吸血族のコミュニティに戻るが、自分は吸血族を捨ててしまったので、杏平に嫌われている。」と教えてもらう。
花夜が吸血族のことを知っているとわかった柾己は、花夜をいいように使っているのではないかと杏平に詰め寄る。杏平は「特別な感情があるなんて馬鹿馬鹿しい、あれは美味い。そういう意味では特別かもしれんがな」とあくまで食料として扱う。それを物陰で聞いていた花夜は「自分もほかの女性と同じただの食料。せめて秘書でい続けよう」と気丈に振舞う。
自分がそばにいられるのは優秀な秘書だからなのだから。
7話
「おまえの血はとっておきのご馳走だ」と、食料としてだが特別扱いされることが嫌ではない花夜。そして血を差し出すのはあくまで秘書としての忠義心だと信じる杏平。
ある日柾己が花夜を呼び出し、花夜に担当部署を変えることを提案する。杏平のことを好きなのかと問われ、自分の杏平を好きな気持ちを初めて認識する。
柾己「吸血族と人間とでは分かり合うのは難しく、異性として吸血族を愛するのは辛い。君があいつを変えるのかもしれない。でも杏平は母が父を愛して吸血族を捨てたことを裏切りだと思っている。だから人間の女性を愛するようになるのも難しいと思う」
相談にのるから、と柾己は言い残し花夜は仕事に戻る。直後に出張先の杏平から重要な仕事を任される。信頼されやりがいのある仕事をもらえることに喜びを感じ、出来た資料を持って杏平が待つ杏平の自宅に向かう。
書類を渡すとその出来に満足し、疲れた様子。そして花夜を抱こうとしながら言う「秘書としてのお前は優秀だ。童顔だが、小道具でごまかされなくともちゃんと秘書の顔をしている」と言う。花夜は「本当の自分を理解して、本当に欲しい言葉をくれる。そんな人だから好きになってしまったのだ」とやはり杏平を好きなのだと認識する。
杏平も無意識に花夜を求めるが、はっと正気に戻り冷たく花夜を帰す。杏平の自宅を飛び出した花夜は、自分の気持ちに気づき苦しくなり、たまたま出くわした柾己に「もう常務のお傍にいられません・・・!」と言う。
8話
花夜が杏平を好きなことを知り、吸血族は人を愛さないことを知っている兄は杏平の秘書から外す。
「何がその人にとって辛いか、耐え難いかなんて他人には計れないよ。他人から見れば〈そんなこと〉でも、君にとっては一生残る傷になるかもしれない。それを耐えろなんて無責任なこと誰が言えるだろう。自分を壊してまでかけられない迷惑なんて無いんだよ」
秘書を離れることで多大な迷惑がかかると気にする花夜にかける言葉。
花夜は杏平にしばらく休暇をもらうと告げるが、杏平は「お前がいないからといって仕事が回らんわけじゃない」と冷たい態度。しかし花夜がその場をはなれると花夜を思い出す自分にイライラし「あれも人間の女だ。ただの・・・」と花夜を特別に思う気持ちに気づかないフリをする。
花夜が休暇に入ったあと、自分の秘書から外されたことを知った杏平は柾己に詰め寄る。そこで柾己は、花夜が杏平のそばにいるのが辛いと言っていたと伝える。杏平は花夜の自宅に行き、なぜ俺から離れるのかと問い詰める。花夜「もう苦痛なんです。仕事を中途半端に担当を離れることを心苦しくは思いますが・・・」
杏平「思い上がるな。おまえは優秀な秘書でおまえの血は特別かもしれん。だが替えなどいくらでもいる。俺のために働けないならお前はいらない」
9話
花夜のことを想い、柾己は花夜をエアデに出向させる。
最初は「秘書など必要ない」と言っていたエアデの鷹栖社長だが、花夜の優秀さに心を開く。花夜も仕事を忙しくすることで杏平を忘れようとする。
花夜は鷹栖社長と一緒に秘書として出席したパーティーで杏平と出食わす。無愛想な態度の杏平に、花夜は心を痛める。しかしパーティーのあと、車に轢かれそうになる花夜を杏平は日光の元であるにも関わらず咄嗟に助ける。
10話
花夜は運転手の松下から、「杏平は花夜がいなくなってからあまり吸血をしておらず弱っている、花夜を必要としている」と言われ杏平の自宅に向かう。
杏平の自宅では秘書を信頼せずにいるため溜まった仕事が山のようになっていた。辛そうな杏平を見て花夜は「常務のこんな姿は見たくない。他の女性を抱くこともこの想いが報われないことも辛いことも含めて常務の傍にいたい」と思う。
それでも杏平は「思い上がるな」と花夜を拒否する。花夜は何もできない自分になりたくなく、自ら刃物で手首を切る。花夜の強い意志に負け、杏平は花屋の血を吸う。
杏平「人間に心動かされるなんて…あるはずがない、でもお前を見ていると、一緒にいるとイライラする」
気にかけていると言われた花夜は「たかが人間だけど信頼のできる道具として常務の気持ちの中にあることを受け入れてくださいませんか?」となだめた。
杏平は花夜を【愛する者】としてでなく【便利な道具】として特別に思っているのだと、自分の心を認め、ふたりは心置きなく結ばれる。
・・・続きはネタバレ②にて